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 日本酒大手の月桂冠(京都市伏見区)は、自動運転トラックを使って製品を出荷・配送する実験を始めた。業界では初めての取り組みという。同社の国内工場は京都のみ。各地への長距離輸送は生命線だが、運転手不足への対策は待ったなしだ。繁忙期の年末までに、運転操作の一部をシステムが担う「レベル2」の自動運転の商用運行を始めたいという。

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月桂冠は自動運転による製品出荷の実験を始めた。T2、鈴与とタッグを組む=2025年7月9日午前10時58分、京都市伏見区の月桂冠物流センター、日比野容子撮影

 「伏見の酒が全国ブランドになったのは、明治時代に鉄道輸送という流通革新があったから。全国の消費者にどう商品を届けるか、絶えず、考えなければならない」

 伏見の酒にまつわる歴史をひもときながら、自動運転にかける意気込みを語るのは、同社の上村太郎・物流部長だ。

 「灘の男酒 伏見の女酒」。並び称されるが、江戸時代は違った。

 江戸で広く飲まれたのは、いまの神戸市から兵庫県西宮市の地域でつくられた灘の酒。「海に面する灘は、船で酒を江戸まで運べた。伏見は海から遠く、われわれの酒は江戸に『下る』ことができなかった」

 上方から江戸に「下る」もの…

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